手付金はどこに?100%ローンを組んで買うのに、10%の手付金を払うと90%ローンにならない?

タイトルを見ていただいたときに、おそらく大半の方は意味がわからないと思いますが、実際に100%のローンを組んで不動産を購入したことのある方は、きっと「そういえば」と思い当たると思います。

この記事をお読みいただければ、

✔ 100%ローンの場合のお金の流れがわかる
✔ 100%ローンなのに手付金を払わないといけない理由がわかる
✔ 諸費用に準備していたお金を手付金として払っていいのかがわかる

それでは一つずつ説明させていただきます。

手付金とは

手付金とは、売買契約を締結するときに、買主から売主へ契約の証として支払うものです。

法的には「証約手付」「解約手付」「違約手付」と3種類に分類されますが、売買契約書の約款を読んでいきますと、
(ここは覚える必要はないので、読み飛ばしていただいても大丈夫と思います)

証約手付・・・契約の証として支払う。売主が買主から手付を受け取ったことにあわせて、売買契約書に署名捺印することで、確かに契約したという証拠になります。

解約手付・・・買主においては、手付金を放棄することで、売買契約を一方的に解除できる、売主においては、手付金を買主に返したうえで、同額をさらに買主に支払うことで売買契約を一方的に解除できます。

の2種類と考えられます。

一般的な売買契約の約款には、違約金として別途の定めがありますので、違約手付としての性質はないように思います。(違約金と手付金が同額の場合は、手付金が違約金の扱いとなる場合もあるでしょう)

手付金は通常10%

不動産取引の慣行で、一般的に売買契約のときの手付金は売買代金の10%とされることが多いと思いますが、10%というのは法律で定められているわけではなく、慣習的に10%となっています。

前述のように、たとえば買主が何らかの事情で一方的に売買契約を解除をしたい場合、あるいは解除しなければならない事情が生じたときに、なんのペナルティも無く売買契約を破棄されては売主も困ります。

それが5%では少なすぎ?
20%は多すぎ?

10%という金額は、買主にしては放棄するには痛い金額です。売主にしては、売買契約を破棄されるのですから、本当は「もっと」と言いたいところでしょうけど、10%無条件にもらえるのであれば、まあ納得できるのではないでしょうか。

ということでちょうどいい妥当なペナルティが10%なのでしょう。

それが慣習的に広く認知されています。

100%ローンのときはどうなるのか

買主が売買代金の100%のフルローンを組む場合は、

  • 貯金はあるけど手元においておきたいからできればフルローン
  • 貯金がないからフルローン

など色んな事情があると思いますが、後者の「貯金がないからフルローン」の場合は、そもそも貯金がないのに、売買契約のときには手付金を求められます。

住宅ローンが実行されたらその実行されたお金をそのまま売主に渡してもらえればいいのですが、一般的には売買契約が先です。

住宅ローンの審査をしている間に、他の買主が来て「私が買います」などと言われますと、せっかく買おうと思っている物件を取られてしまいかねません。

ですから通常のパターンで行くと、住宅ローンのローン特約を付けて、先に売買契約を進めます。その際には手付金が必要になります。

諸費用は貯金(自己資金)から捻出する場合

売買に関わる諸費用を貯金(自己資金)から捻出して、物件の売買代金を住宅ローンから借りる場合であれば、諸費用に当てる予定の自己資金があるわけですから、その自己資金を使えば、手付金に使うことができます。

そこで多くの買主さんは疑問にぶち当たるわけです。

「諸費用に当てる予定の自己資金を手付金で支払ったら、諸費用の支払いはどうするのか」

住宅ローンは何百件とお手伝いしてきましたが、100%ローンを組むときに、必ずと言っていいほど、買主さんから質問されます。

「手付金のお金はあとで戻ってきます」

などと説明しますが、その理屈が簡単なようでなかなか理解しにくいようです。

順を追って説明しますので、途中でつまづいた場合は、何度も戻って理解していただければと思います。

例として物件は3,000万円、諸費用は250万円、物件価格のフルローンとします。

  1. 手付金300万円を支払って売買契約。
    (手付金は売買代金3,000万円に充当されるので、売主に支払うのは残り2,700万円)
  2. 住宅ローンが3,000万円実行される
    (3,000万円が買主の銀行口座に入金される)
  3. 売主に残りの2,700万円を支払う。
    (銀行口座に入金された3,000万円から2,700万円を売主に支払う)
  4. 銀行口座に300万円が残る。
    (ここで支払っていた手付金が返ってきている)※あえて「返ってきた」と表現しています
  5. 銀行口座に残った300万円から諸費用の250万円を支払う。
    (売買契約時に仲介手数料の半分など支払わず、仲介手数料は残金支払時一括の場合です)
  6. 銀行口座に50万円が残る。

ということで、手付金として一度300万円は支払ったのですが、最終的に銀行口座に50万円が残っていますので、自己資金として負担したのは250万円となります。

そして、予定していた諸費用の250万円の支払いも済んでいます。

この流れの説明を幾度となく買主さんに説明をしますのですが、手付金という存在がお金の流れをややこしくしてしまって、最後銀行口座に50万残ったときに、買主さんがまるで狐につままれるたようになっている光景を見かけます。

結果的に資金計画どおりに手続きが完了しているので、理由のわからないうちにお金が動いてすべてが完結してしまっています。

何度もこれをやってきて、理解している人にはなんでもない話なのですが、一生のうちにそんなに何回もないことなので、買主さんは理解半ばで終わっているかも知れませんね。

諸費用として準備していた自己資金は手付金として支払っても問題ない

前述のお金の流れを理解することができれば、当初諸費用として準備していた自己資金を、手付金として支払っても問題ありません。

ただし資金計画がきちんとできてなくて、誤解したまま進められると資金が足りなくなったりするケースもありますから、不動産屋の営業マンとよく相談し、資金計画を綿密に立てる事が重要です。

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