買い換え特約とは、不動産の売買契約において、買主が現在所有している不動産を売却することを条件として、新しい不動産の購入契約を結ぶときに、売買契約に盛り込む特約のひとつです。
この特約を付けることで、買主は自分の物件が売れるまで新しい物件の購入を保留にでき、資金計画のリスクを軽減することができます。
特徴
売却が前提条件
買主が現在所有している不動産を売却できた場合にのみ、新しい不動産の購入契約が成立します。(これは停止条件の場合)
通常は、解除条件として契約をしますので、契約書に定められた日にちまでに、現在所有している不動産を売却できなかったときに、売買契約を解除することができます。
売却期限の設定
通常、現在の不動産を売却するための期限が契約書に明記されます。期限内に売却できなければ、契約は解除される場合があります。逆に、期限を定めない場合は、トラブルを引き起こす可能性がありますので、注意しましょう。
違約金の免除
買い換え特約を設定している場合、売却が成立しなかった場合には違約金なしで契約を解除できることが多いです。
メリット
資金計画の安定
現在の不動産を売却して得た資金を新しい不動産の購入資金に充てることができるため、資金繰りが安定します。
リスク回避
売却が完了する前に新しい物件を購入するリスクを回避できます。これにより、二重ローンの不安を解消できるため、精神的にもラクです。
柔軟な対応
期限までに売却が成立しない場合は、新しい物件の購入をキャンセルできます。また特約の内容によっては「解除できる」という表現になっていることも多いため、解除できる権利を行使するかしないかは、買主の判断によって決めることができるため、柔軟な対応が可能です。
デメリット
売主の不確実性
売主側から見ると、買い換え特約付きの契約は不安定なため、万が一解約になってしまった場合は、他の買主を探す必要が生じることになります。売買契約としては成立しても、最後まで契約を履行できるかは、買主が売却する不動産の売買が成立するかどうかに左右されることになります。
決済日の遅延
買主の物件が売却されるまで新しい物件の取引が進まないため、契約が成立していても、最終残代金の決済日が遅くなる可能性があります。(売却に要する期間を要するため、契約から決済日までの期間が長くなりがち)
買主にとっては所有不動産を安く売ることにもなる
売却を急ぐ必要があるため、市場状況によっては売却価格が希望より低くなる可能性があります。
注意点
期限設定がとても重要
買い換え特約における売却期限は慎重に設定する必要があります。期限が短すぎると売却が間に合わないリスクがあり、特約によって売買契約が解除されてしまうことにもなりますし、長すぎると売主にとっては不利になります。長期間、売却活動をした結果、売却が成立せずに売買契約が解除されてしまうと、売主にとっては単に時間を浪費しただけの結果となってしまいかねません。
条件を細かく明記すべし
特約の内容は契約書に詳細に明記し、買主と売主双方が納得できる内容にすることが重要です。特に期限は必須、期限を定める場合でも、なるべくなら売主にとって不利な期間にならないように注意しましょう。というのも、買い換え特約というのは、買主にとって一方的に有利な特約です。逆に売主にとっては不利以外のなんでもありません。ですから、最低限期間は売主にとって不利のないようにしましょう。
また買主が最終的に売却する金額についても可能ならば設定しておくのが望ましいです。たとえば、契約してから販売を始めたとしたとき、最初の1ヶ月の売却価格は〇〇万円、2ヶ月目は〇〇万円、3ヶ月目には〇〇万円というようにです。
買主にとっては酷かもしれませんが、それと引き換えに買い換えのリスクを回避できるわけですから、売主はそれくらいを交渉しても良いと思います。
まとめ
買い換え特約は買主にとって一方的に有利な特約です。その買い換え特約を売主が承諾してくれるとしたら、買主にとっては非常にありがたいことです。
ただし売主がその買い換え特約について厳しい条件を出してくる可能性があります。それは売主の権利を考えれば当然のことです。
お互いがウィンウィンになるように上手に特約の内容を設定し、双方が納得できるトラブルのない売買契約ができるよう、事前に詳細な打ち合わせをしておくことが肝要だと思います。
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