買い換えローンとは、現在所有している住宅を売却し、新しい住宅を購入する際に利用される住宅ローンの一種です。このローンは、現在の住宅ローンがまだ残っている場合に対応するために、つくられた商品です。
特に、購入したあとに相場がダダ下がって、住宅ローンの残債が減るスピードよりも、相場が下がっていくスピードのほうが早いときは、売却したとしても住宅ローンを全額返せないケースがあります(いわゆる債務超過)。
その際にも利用できるのがこの買い換えローンです。
特徴
新しく組むローンで現在の残債を全額返済
現在残っている住宅ローンの返済原資は、現在所有している不動産の売却資金と、新たに借り入れをする買い換えローンを併用することで、現在の住宅ローンを一括で返済する事ができます。
そもそも現在所有している不動産を誰かに買ってもらうためには、住宅ローンを全額返済して、設定されている抵当権を抹消しなければなりません。一般的には、不動産の売却資金を持って、住宅ローンを全額返済することになりますが、債務超過の際には、不動産の売却代金だけでは足りません。
そこで新規の物件を購入する際に、その物件価格よりもさらに上乗せして住宅ローンを組むことで、現在の住宅ローンを全額返済するための足らず分の原子とするわけです。
債務超過の状態でも住み替えが可能になる
新しい住宅の購入資金に上乗せして、現在の住宅の売却資金の原資をまとめて新しい住宅ローンとすることで、資金のショートをなくし、資金計画が立てられることになります。
ローンを1本化することができる
この買い換えローンがまだない時代には、債務超過の物件を売却する際には、不動産の売却だけでは足りない部分を、別に調達する必要がありました。
例えば「親に借りる」「他の金融機関で借りる」などです。
そうすると、新規で住宅ローンを組むことによって、返済するところが2箇所になったり、それぞれの金利や期間などの借入条件が異なり、管理するのも面倒でした。
しかしこの買い換えローンを利用することで、新しい住宅ローンに1本化され、管理が簡単になり、月々の返済負担も長期の住宅ローン、低金利となり軽減されます。
ちなみに、売却するために他の金融機関で借りてしまうと、新規の住宅ローンを組む際に障害となるため、それも得策とは言えませんでした。また、住宅ローンの足らず分を返済するために借り入れをする(借入返済のための借り入れ)となるので、貸してくれるところも殆どありませんでした。
メリット
住み替えがスムーズに行なえる
住み替えの際に、現在の住宅の売却と新しい住宅の購入をスムーズに行うことができます。
返済計画が立てやすい
債務超過ではない通常の売却と同じように、新しく組むローンについて考えればいいだけなので、返済計画も立てやすくなります。
複数のローンを組むことなく、新規の住宅ローン一本となるので、とてもシンプルなものになります。
デメリット
融資条件が厳格になる
買い換えローンは通常の住宅ローンよりも審査が厳しくなることがあります。当然ですが、新規で購入する物件価格以上の融資額となるため、融資の審査は通常より厳しくなります。
返済金額が増える
これも当然ではありますが、物件価格以上のローンとなりますので、返済金額が増えることになります。ただし、無理な金額と判断したときには、わざわざ無理して購入することもありませんので、事前にきちんとリサーチして把握しておけば、十分に回避することはできます。
注意点
そもそも現在住宅(所有している不動産)が債務超過になっているということは、過去にその物件を購入した価格が大幅に下がっているということになりますでしょう。つまり世間の相場が相当下落しているということです。
そんな状況の中で「買い換え」にチャレンジしようというのですから、それなりの覚悟が必要ですし、それだけの稼ぎがなければ、仮に借り換え住宅ローンを組めて、住み換えが出来たとしても返済が大変になると思います。(そもそもその場合は銀行の審査が通らないかもしれませんが)
また購入する物件に、更に上乗せして借り入れをするわけですから、その物件を売却しようとしても簡単に売却することはできません。
例えば2,000万円の物件に500万円上乗せして借りたとしますと、2,000万円の物件に2,500万円借り入れしているわけですから、住み換えが実現した時点ですでに債務超過の状態なわけです。
住み換えをするための相応の事情がなければ、無理にすることではありません。
少しでも貯金を増やす、住宅ローンを繰り上げ返済するなどして、ひとまずは債務超過の状態を脱却することで、次の住み換えがスムーズにできることになると思います。
便利な商品も使い方次第ということです。
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