解除条件とは、不動産売買契約などの契約において、特定の条件が満たされない場合に契約を解除できるという特約のことです。
この条件が成立することで、契約当事者は契約を解除することができます。
※よく似た言葉に「停止条件」がありますが、混同しやすいのでご注意下さい。
特徴
面倒な手続きを省き解除ができる
契約書に記載されている特定の条件が満たされた(ない)ときに、契約を解除できるようにしていることが大半です。代表的なものが、買主のローンが使えなかったときに契約解除ができるローン特約です。
契約解除ができる権利を得た当事者は、裁判や、当事者同士の交渉などをすることなく、契約を解除することができます。
解除の条件はいろいろ
解除条件は、売買契約、賃貸借契約など、さまざまな不動産取引に適用されています。賃貸の場合は、借主が1ヶ月前に解除予告をすることで、賃貸借契約が解除できるようになっています。
以下の例は、売買契約の解除条項に記載されている一般的な解除条件です。
- 例1 ローン特約
不動産購入にあたり、買主が住宅ローンを利用する場合、ローンの審査が通らなければ契約を解除できるというものです。予定していた住宅ローンの審査に落ちた場合、買主は契約を解除できます。この場合違約金なしの「白紙解約」とすることが一般的です。 - 例2 天災地変による解除
天災地変等の売主・買主いずれの責任でもない理由で、契約の履行が不可能となったときに、契約を解除できるように設定されています。 - 例3 手付解除
買主・・・手付金の放棄
売主・・・手付金の倍返し
をすることで、一方的に契約を解除することができます。 - 例4 契約違反による解除
売主・買主のいずれか一方が契約の履行をしないとき、履行の催告をしたうえで、売買契約を解除することができます。この場合、違約金を請求できることが一般的です。 - 例5 買い換え特約
ほかにも様々なものがあります。
売買契約書になぜ解除条件を盛り込むのか
これから契約をするのに、なぜ解除の話が出てくるのかと、重要事項説明のときにもすこし不思議な顔をされる方もおられます。
確かに契約を解除するためのことをあらかじめ契約書に記載するのは、初めて契約書を見たときに少し私も不思議に思いました。仲介の契約を何度も何度もやっていくうちに、その理由もだんだんと分かってきたように思います。
売買契約をしたあと、実際に代金の授受と引き渡しが行われるまでの期間がありますので、そのタイムラグの間に不測の事態が生じることもないとは言えません。その不測の事態が生じたときのために、スムーズに契約を解除できるようにしてあるのです。
もしもその解除条項が定められていなくて、不測の事態が生じたときに、売主・買主ともに協力的な人であればいいですが、非協力的な人であった場合は、交渉が生じますし、ヘタすると裁判にもなりかねません。
その争いがもし生じてしまった場合は、法的な解釈としては、契約が有効に成立したまま履行がされていないというとても不安定な状況に陥ります。
売主は、契約が解除されるまでは、次の新たな買主と契約することはできませんし、買主も同様です。通常は契約時に手付金などのお金のやり取りがあるものですから、金銭についての争いもクリアーにしないといけません。
なので、売買契約はするものの、その契約を解除しなければならない自体に備えて、スムーズに解除ができるように、あらかじめ定めてあるわけです。
停止条件と混同しないように
不動産業に長年携わっている人でさえも、その認識を間違えていることがよくありますが、「解除条件」と「停止条件」は似ているようで違いますので、間違えないようにしましょう。
よく不動産屋の会話の中でも、
「ローン特約という停止条件がありますから」
と言われることがありますが、これは間違いで、ローン特約は解除条件です。
停止条件と解除条件は何が違うかといいますと、停止条件は条件が成就して初めて契約が有効になるものです。反対に解除条件は、売買契約を交わした時点で契約は成立し有効になっていますので、解除条件が整った場合にその契約を解除できるというものです。
ポイントは「有効」という言葉です。
例えば、実際によくある停止条件としては、建築条件付き土地の売買契約がそうです。
建築条件付き土地の売買契約を、請負契約を停止条件として契約した場合は、土地売買契約時に手付金は支払って、売買契約としては成立していますが、契約そのものは有効にはなっていません。建物の請負契約が成立して初めて、契約が有効になるのです。
ですから仲介手数料は、停止条件付の建築条件付き土地の売買契約の場合、請負契約が成立するまで支払う必要はありません。(むしろ仲介業者がいるとした場合、契約が有効になるまで仲介手数料を受け取ってはいけません)
ですが、建築条件付き土地の契約でも、停止条件ではなく、解除条件で契約をした場合は、土地売買契約の時点で有効となりますので、仲介手数料を受け取ってもいいわけです。
実務上で停止条件契約とするのか、解除条件として契約するのかは、契約書に記載する”文言”によって決まりますので、もし契約書に「請負契約が成立することを停止条件として」などと書いてしまうと、仲介手数料を売買契約時に受け取ることができなくなってしまう上に、請負契約が成立しなかったときは、契約が有効とならない、つまり売買契約を博しにすることができてしまうのです。
「停止」か「解除」かのこのたったの2文字の書き間違いがエライことになりますので注意しましょう。(これは業者さん向けの注意喚起)
ここまでのことを理解したうえで、買主さんは「停止」と書いてあったらラッキーと思えばよいでしょう。
まとめ
解除条件は、契約が成立している(有効となっている)前提で、その契約を解除できるように条件設定するものです。
停止条件と混同しないように注意しましょう。
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