違約金とは、不動産取引や契約において、契約の当事者が契約内容に違反した場合に支払う金銭のことです。違約金は契約違反に対する損害賠償の一種であり、契約の履行を確保するために設定されます。
違約金の特徴
- 契約違反時の支払い: 違約金は、契約の当事者が契約に違反した際に支払う義務が生じる金銭です。たとえば、不動産の売買契約で一方が支払いや引渡しの義務を履行しない場合に発生します。
- 契約書に明記: 違約金の金額や支払い条件は、契約書に明記されます。これにより、契約違反が発生した際に、どの程度の金銭を支払う必要があるかが明確になります。
- 損害賠償の代替: 違約金は、契約違反による損害賠償の代替として機能します。これにより、実際の損害額を証明する手間(裁判での争いなど)を省き、迅速な解決を図ることができます。
売買契約における違約金の例
不動産の売買契約で買主が代金を支払わない場合や、買主が代金を支払っているにも関わらず、売主が物件を引渡さない場合に違約金が請求されることがあります。
違約金の設定と注意点
- 適正な金額の設定: 違約金は契約違反に対するペナルティですが、過度に高額な違約金は無効とされることがあります。適正な金額を設定することが重要です。
- 法的制限: 違約金の金額や条件は法律によって制限されることがあります。たとえば、消費者契約においては、消費者保護の観点から過度な違約金が無効とされる場合があります。
- 事前の確認: 契約を結ぶ際には、違約金の条件を事前に確認し、納得した上で契約を締結することが重要です。
実務的な例1
一般的には、売買契約を行なう際に、売主と買主の間で手付金の授受が行われますので、契約をやめたい(解除したい)ときには、手付金を放棄する(売主においては倍返し)をすることで、理由のいかんを問わずして一方的に解除することができます。
この場合は、契約違反でもなんでもなく、契約の条項に盛り込まれている「手付解除」という名目での解除となります。
違約金の場合は、自分が契約書どおりに約束を守っているにも関わらず、相手が契約書どおりにやってくれないときに、初めて違約(契約違反の略)となるわけです。
しかし勘違いしてはいけないのは、相手が契約書どおりにしてくれない場合に、いきなり違約になるのではありません。
通常契約書には、相手が契約の履行をしてくれない場合に「履行の催告」をまずはしなければなりません。
履行の催告というのは「いついつまでに〇〇をやって下さい」という催促をすることです。
その催告に応じてもらえない場合に、そこで初めて契約違反となるわけです。
たとえば、買主が住宅ローンの承認→ローン契約まで進めていて、あと売主の書類さえ揃えば、住宅ローンが実行される状況にあるときに、売主が書類を準備してくれない(引き渡しの手続きに応じてくれない)ときで、ついにとうとう契約書に定めてあった、引渡期日を過ぎてしまった場合などが分かりやすいです。
買主が支払いの準備をしているにも関わらず、売主が応じない、そして引渡期日を迎えてしまった・・・この場合は、引渡期日を迎えてしまったからと行っていきなり違約ではなく、まず買主は催告をしなければなりません。そして売主がその催告に応じないときに初めて、違約(契約違反)となり、契約を解除したうえで違約金の請求ができることになります。
なので、まずは契約解除ができる状況になって、契約を解除したうえで、違約金を請求することになるというのが、契約書の中で定められた流れになるでしょう。
実務的な例2
違約金の金額は、最近では一般的に1割(10%)と定めることが多くなってきたように思いますが、昭和のころや平成のはじめくらいの頃は、割と平気に20%と定めていることが多かったように思います。
なぜ2割から1割になってきたのかということですが、そもそも違約金は支払うことを目的に定められているものではなくて、契約に定めたルールを守ってもらうために「もし守らなかったら大きな損害をこうむりますよ」という意味合いのものだと思うのです。
ですから2割と定めておけば、そうそう契約の約束をやぶることにはならないだろうということで、高い金額の設定をしていたのだと思いますが、特に大手の不動産業者などは、2割とは設定せず、1割と設定しているところが多いと思います。
なぜか?
実際に違約金を支払わなければならない状況になったときに、2割の違約金をきちんと支払える人がほとんどいなかったのでしょう。
ですから、そもそも非現実的な取り決めを契約書に盛り込むことそのものに無理があるのではないかということなのではないでしょうか。
私も長年不動産業をやっておりますが、手付解除はあっても違約解除は経験がありません。
売買契約を行なうときに、違約金の設定項目がありますが、1割になっているのか2割になっているのかをよく注意してみておきましょう。
2割がだめということではありませんが、最近の傾向である1割を使わずに2割を使っているということは、まあまあ古い体質が残っている会社なのではないかと想像します。
<参考記事>
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