印紙税とは、特定の文書に対して課される税金のことです。契約書や領収書などの法的文書に課され、文書の種類や記載内容に応じて定められた額の印紙を貼ることで納税が行われます。
特徴と役割
- 課税対象文書: 印紙税が課される文書には、売買契約書、不動産譲渡契約書、領収書、借用証書などがあります。不動産取引では、売買契約書に印紙税が課されるのが一般的です。
- 納税方法: 文書に定められた金額の印紙を購入し、該当する文書に貼り付けます。その後、割印をすることで納税が完了します。印紙を貼らずに文書を使用した場合や、金額が不足している場合は、罰則が科されることがあります。
- 税額の決定: 印紙税の額は、文書の種類や金額に応じて決まります。例えば、不動産売買契約書の印紙税額は、契約金額に応じて異なります。
- 免税措置: 特定の条件下では印紙税が免除される場合もあります。例えば、一定の金額以下の領収書や特定の公益法人が作成する文書などが該当します。
実務上の注意点
- 契約時の確認: 不動産取引や大きな契約を結ぶ際には、印紙税が必要な文書かどうかを必ず確認し、適正な額の印紙を貼り付ける必要があります。
- 印紙の購入場所: 印紙は、郵便局や一部のコンビニエンスストアで購入することができます。
- 割印の方法: 印紙を貼った後は、割印を忘れないようにしましょう。割印をしないと、納税が完了したとみなされないためです。割印は、印紙と文書の両方にまたがるように押す必要があります。
よく間違う金額
実務上の注意点にも記載したように、金額の確認が重要です。
とくに不動産売買契約の場合で、印紙代が軽減されていることは、ほとんど誰しもが知っていることなのですが、例えば、
「3000万円の売買契約で、印紙代が15,000円から10,000円に軽減される」
この軽減を間違うことはほとんどありませんが、時々目にする間違いが、
5,000万円のとき、1億円のときなど、印紙税の区切りぴったりのときです。
以下、国税庁の書類の抜粋です。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf
黒枠のところをよく見ていただいて、5,000万円の場合がいくらになるのかを考えてみて下さい。
5,000万円ピッタリの場合は「5,000万円以下」に該当しますので、印紙税額は1万円になります。ところが5,000万円を超えると印紙代が上がるということを知っている営業マンは、ここで勘違いして、3万円の印紙を貼り付けたりしていることがあります。
そしてお客様自身も気がついていないことがあります。
これはとてももったいないので、ピッタリの時は注意が必要というように覚えておきましょう。
領収書に印紙を貼らなくてもいいケース
以下、国税庁からの抜粋ですが、
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran_r0204.pdf
金銭または有価証券の受取書(つまり領収書)には印紙を貼らないといけないと書かれています。
しかし、右側の「次の受取書は非課税」のところ、2番を見ていただきましょう。
営業にかんしないものは非課税となっています。
ですから個人が売主の中古物件などは、領収書の印紙は貼らなくていいのです。
これはほとんど間違う場合はないと思いますが、時々ごくまれに知らない人がいらっしゃるので、いらないところでお金を使わないように注意して下さい。
ちょっとした節税
中古物件などの標準的な売買契約書は、個人と個人が売買をするケースを想定して、売買契約書を2通作成する文言になっていますが、売主が業者、買主が個人の場合などで最近では、契約書を2通作成せずに、1通だけ作成して、どちらか片方が原本を所持し、もう片方はコピーで済ませるというケースが増えています。
契約そのものは1通契約書があれば、契約した事実が残りますので、それで契約は成立しています。
売買契約書を2通から1通にすることで、収入印紙の負担金額が半分になるわけです。
売主が業者の場合などは「原本じゃなくてコピーでいい」という業者も多いので、売買契約書を1通にして印紙代を節約するところも増えています。(最近ではすでにスタンダード)
個人と個人の契約でも出来なくはないですが、どちらか一方に有利になるようなことは避けたほうがいいので、個人と個人の契約の場合は2通が望ましいでしょう。
売買契約書を1通にする場合は、印紙代をどっちが負担するのかを、売買契約締結前に決めて置かなければいけません。
通常の契約書の約款では、印紙はそれぞれが「それぞれの売買契約書に貼付する」という文言が入っていますから、その文言を特約などで書き換える必要があるでしょう。
<参考記事>
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